概要
発電設備の系統連系に際して求められるサイバーセキュリティ対策が強化されます。一般送配電事業者の系統連系技術要件の改正により、太陽光発電、蓄電池、風力発電等の設備に使用されるIP通信機能を有する機器(PCS、BMS、EMS等の出力制御装置、遠隔監視装置、ゲートウェイ等)について、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営するセキュリティラベリング制度におけるJC-STAR★1適合ラベルを取得していることが系統連系にあたって必要となります。高圧・特別高圧の太陽光発電・蓄電池については、2027年4月1日以降に一般送配電事業者が契約申込みを受け付けた案件が対象となります。
既存設備への影響
既存の設備については、2027年4月の時点でJC-STAR★1を取得していない既存機器を直ちに交換することが求められるものではありませんが、故障等により既存の設備の対象機器を交換する場合には注意が必要です。従前、既存の設備の一部の機器を交換する場合に、交換対象以外の機器を含め発電設備の全ての機器について新たな要件への適合が求められる可能性が示唆されていたところ、資源エネルギー庁は、2026年7月、JC-STAR★1に関するQ&Aを更新し、既存の設備における機器交換の取扱いの方針を示しました。
「過度な負担」による例外の取扱い
Q&A(No.11)によれば、故障等を理由として一部の既存機器を交換する場合についても原則として、JC-STAR★1製品の使用が求められる一方で、JC-STAR★1取得製品への交換によって事業者に「過度な負担」が生じる場合について、一定の手続きを経ることで例外的にJC-STAR★1未取得の同類型式製品への交換が認められます。
具体的には、以下の場合が事業者に「過度な負担」が生じる例とされています。
例外適用に必要な手続
「過度な負担」があるとしてJC-STAR★1未取得の同類型式製品へ交換するにあたっては、一般送配電事業者に相談の上、①JC-STAR★1取得製品への交換が困難である理由、②設備の広範なリプレース又はリパワリングを実施し、交換対象機器の全てをJC-STAR★1取得製品へ交換する具体的な時期、③それまでの間に実施するサイバーセキュリティ対策の3点を記載した計画書を提出することが必要となります。
この例外措置はJC-STAR★1未取得製品の「当面の間の使用」を認めるものとされており、長期的には交換対象の機器をJC-STAR★1取得製品とすることが必要となります。
JC-STAR★1取得製品の現状
なお、IPAが公表しているJC-STAR適合ラベル取得製品リスト(2026年8月18日最終更新)によると、現時点で主要な中国メーカーによるJC-STAR★1取得製品は確認されていません。現在の状況が2027年4月以降も継続する場合、PCS等が故障した際に同一メーカーの取得製品に交換することができず、他メーカーの製品への変更が必要となる可能性があります。
実務上の対応
新規案件では2027年4月という明確な適用時期が迫っているほか、既存案件についても将来の機器交換に新要件が影響することから、開発中・稼働中の双方のプロジェクトについて、対象機器のJC-STAR★1取得状況と代替可能性を早期に確認することが重要です。現在未取得の製品を使用している事業者や未取得の製品を使用しているプロジェクトを取得しようとする事業者においては、JC-STAR★1の取得予定時期及び取得できなかった場合の代替機器について確認するとともに、例外措置の適用を受けようとする場合には、その要件の充足見込みを検討することが望まれます。