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国際的腐敗行為防止事件の展開2018年9月の10大ニュース

Top Ten International Anti-Corruption Developments for September 2018

09 Oct 2018

多忙な社内弁護士やコンプライアンスの専門家に全体像を掴んでいただくため、9月の国際的腐敗行為に関する事件の展開のうち最も重要なものについて、要約と、一次情報源のリンクを提供する。FCPA事件で米司法省(DOJ)及び米証券取引委員会(SEC)との和解に合意したブラジル国営企業は。米国その他諸国での外国公務員贈収賄に関する大規模捜査も含め、オランダとスイスの法執行当局との間でマネーロンダリング防止に関する和解に合意した銀行は。カナダの法改正と英国重大不正捜査局(SFO)の局長交代により、外国の贈収賄に関するエンフォースメントにどのような変化が予想されるか。その答えはこの2018年9月の10大ニュースの中にある。

1. ブラジルの国営石油会社、DOJ及びSECとFCPA事件で和解 和解金の合計は17億8,000万ドル超 2018年9月27日、DOJSECは、Petroleo Brasiliero S.A.(「ペトロブラス」)がブラジルでの長期にわたる贈賄スキームに関与した容疑に関して同社と同時に和解したと発表した。和解文書(resolution papers)によれば、およそ2004年から2012年までの間、ペトロブラスは、大口の請負業者や供給業者との間で、それらの業者業者がブラジルの公務員や政党に対して何十億ドルものリベートを支払う見返りにペトロブラスのインフラ事業の費用を何十億ドルも水増しするという巨大なスキームに関与していた。このように水増しして計上された資産は財務諸表に影響を与えた(2010年に行われた100億ドルの株式オファリングの際に提出された財務諸表など)とされる。SECによれば、ペトロブラスはFCPAの帳簿記録・内部会計統制条項の違反に加え、虚偽の財務諸表を届け出ることで米国投資家を欺いた。DOJがペトロブラスとの間で締結した訴追免除合意(NPA)には、罰金8億5,320万ドルの支払いが含まれている。DOJによれば、この金額はペトロブラスが「全面的に協力し、かつ、是正措置を講じたこと」に免じて、量刑ガイドラインに定める罰金範囲の最低額から25%を減額したものである。NPAに基づき、DOJは、ペトロブラスがSECとブラジル連邦検察省(Brazilian Ministerio Publico Federal(MPF))に対し各合意に従って支払う金額を考慮し、DOJ及びSECがそれぞれ罰金総額の10%(85,320,000ドル)を、またブラジルが残りの80%(682,560,000ドル)を受け取ることにも同意した。SEC命令によると、ペトロブラスは、ディスゴージメント(不正利得の吐き出し)及び審理前利息の形で9億3,300万ドルを支払うこと(その全てが米国のクラスアクションについての和解資金用にペトロブラスが既に支払った金額と相殺される)ことに同意した。このような修正と相殺を考えると、ペトロブラスがDOJとSECに対して支払う総額は、罰金合計額の約17億8,700万ドルのうち1億7,060万ドルとなる。国が主たる所有者である石油会社がFCPA事件で和解したのはペトロブラスが初めてではないが(例えば、2006年のStatoil事件をご参照ください。)、DOJが科す罰金の80%がペトロブラスの過半数を所有する国に払い戻されるというのは注目すべき展開であり、また、クラスアクションでの和解金の一部として支払った金額をSECが考慮するのはFCPA事件ではあまり例がない。多くの意味で、ペトロブラス事件の解決は、ブラジルの「洗車作戦(Operation Lava Jato)」、すなわちペトロブラスが関与する汚職容疑について2014年3月に開始された大規模な捜査の結実である。またこの捜査により数多くのエンフォースメント手続がブラジル国内外で行われている。今後の礎となる大きな事件の解決をもって、洗車作戦にどれくらいのやり残しがあるかを観察することは興味深い。

2. オランダの金融サービス会社、ウズベキスタンでの贈賄容疑も含め9億ドルでオランダ検察局と和解 2018年9月4日、ING Groep NVによるマネーロンダリング防止の統制が不十分であったとされた事件でのオランダ検察庁(DPPS)との和解合意の一環として、同社が罰金とディスゴージメント(不正利得の吐き出し)の併せて9億ドルを支払うことに同意したと発表されたオランダ検察局によれば、オランダの電気通信会社VimpelCom Ltd.がウズベキスタンの電気通信権が絡む外国の贈賄スキームを推進する目的でINGの銀行口座から元ウズベキスタン大統領の娘に5,500万ドルを支払うことが可能であったのは、INGの統制が不十分であったことが原因である。(VimpelComは、2016年2月に米国及びオランダの執行当局との間で関連事件の和解に応じている。)オランダ検察局によれば、INGはこれらの異常な取引につき当局への開示を怠り、その報告に遅滞があった。2018年9月5日、INGは、SECに届け出た財務報告書において、SEC法執行部が捜査を終結し、INGに対してSECのエンフォースメント手続を推奨する予定がないという正式な通知を受け取ったと発表した。この事件は、外国の贈収賄捜査におけるオランダ執行当局による積極的な役割や、執行当局間の国際協調を示している。

3. スイスの銀行、外国の贈賄容疑も含め、スイス金融規制当局と和解 当事務所はこれまでにも、ある国における腐敗行為防止に関する国際的なエンフォースメント手続が他の国々での手続に発展し得る例を紹介してきた。(例えば、FCPAエンフォースメント手続の国際的影響については2015年8月の10大ニュースをご参照ください。)このことは、2018年9月17日(この日、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)が数々の広範な国際汚職捜査に関わる、Credit Suisse AGに対する2件のエンフォースメント手続を終結したと発表した。)に浮き彫りになった。1件目の手続においてFINMAは、FIFA(例えば、2015年5月の10大ニュースをご参照ください。)、ペトロブラス(例えば、上記1項をご参照ください。)及びPetroleos de Venezuela, S.A(例えば、下記6項をご参照ください。)が関与した汚職事件に関して、上記の銀行がマネーロンダリング防止のためにデューディリジェンスを実施する義務を怠ったと認定した。2件目は銀行側の重要な公的地位を有する者との重要な銀行取引に関する手続であるが、FINMAは、マネーロンダリング防止手続上の不備と銀行の統制メカニズム及びリスク管理上の欠陥を認定した。これらのエンフォースメント手続に関連して、FINMAは、銀行が既に開始していた対策をさらに改善し、その実施を促進する措置を講じるよう命じた。また、FINMAは、かかる措置の実施状況及び有効性の監視を独立の第三者に委託した。

4. SEC、年度末に数件の企業関連のFCPA調査を終結 SECは、これまでにもあったように、年度末である2018年9月に企業関連のFCPA調査をいくつか終結させた。(2016年9月の10大ニュースをご参照ください。こちらもこの傾向を例証しています。)以下のとおり、当該調査のうち1件については、SEC及びDOC双方の不起訴処分となったが、数件はSECのみの解決に終わった。

  • フランスの製薬会社、中東及び中央アジアにおけるFCPA違反容疑について和解 2018年9月4日、SECは、Sanofiが、連邦証券法令の帳簿記録・内部会計統制条項の違反容疑について和解するため、ディスゴージメント(不正利得の吐き出し)、利息及び民事制裁金の総額として2,500万ドルの支払いに応じたと発表した。SEC命令によれば、2007年から2011年まで、同社のカザフスタン子会社の職員は公的機関における入札に対し影響力を行使する見返りに外国公務員に賄賂を渡すスキームに関与した。同命令はまた、2011年から2013年まで、レバント地方(ヨルダン、レバノン、シリア及びパレスチナ地方)の同社代理店及び従業員が処方の増加による同社製品の売上増を目的として外国公務員に金員を支払うスキームに関与し、さらに、同社の湾岸地域の営業担当者及びMRもSanofi製品の処方を増加するために虚偽の出張・接待費の立替金請求をするスキームに関与したとしている。
  • 英国の石油掘削サービス会社、ペトロブラス関連のFCPA調査事案に対するDOJ及びSECの不起訴処分を開示 Ensco plcは、2018年9月4日に提出した証券報告書において、DOJ及びSECより、エンフォースメント手続を講じることなく、FCPA違反容疑の調査を終結した旨の通知があったことを開示した。同報告書によれば、2015年、Enscoは、買収した子会社Pride International LLCとペトロブラスとの間で2008年に締結された掘削サービス契約に関する不正行為疑惑への内部調査を任意に開示した。Enscoは、調査中はDOJ及びSECへの協力を継続し、Pride又はEnsco(或いはそれらの現従業員又は元従業員)が不正行為を認識し、又は不正行為に関与したとのいかなる証拠も見つからなかった旨述べた。
  • 米国のテクノロジー企業、アジア及び中東におけるFCPA違反容疑について和解 2018年9月12日、SECは、United Technologies Corporationが、同社のエレベータ・航空機エンジン事業に関連するFCPAの会計条項違反容疑について和解するため、ディスゴージメント(不正利得の吐き出し)、利息及び民事制裁金の総額として1,390万ドルの支払いに応じたと発表した。SEC命令は次の4件のスキームがあったとしている。(1)エレベータ機器の販売を容易にするため、同社の完全子会社Otis Elevator Companyを通じてアゼルバイジャンの公務員に行った不適切な支払い、(2)中国におけるリベート計画に関連して2012年に行った不適切な支払い、(3)2009年から2013年まで合弁会社を通じて中国の代理店に対して行った裏付のない支払い、並びに(4)中国、インドネシア、クウェート、パキスタン、韓国及びタイにおいて2009年から2015年までに各外国公務員に対して行った不適切な旅行招待・贈答。同社は、容疑の認否は明らかにしていない。
  • 米国の医療技術会社、再びFCPA違反容疑について和解 2018年9月28日、SECは、Stryker Corporationが、同社の中国、インド及びクウェートにおける行為に関連するFCPAの会計条項違反容疑について和解するため、7,800万ドルの民事制裁金の支払いと独立したコンプライアンス・コンサルタントの常置に応じたと発表した。SEC命令によれば、同社の内部会計統制は、中国、インド及びクウェートにおける製品販売に関する不適切な支払いのリスクを検知するには不十分であった。同命令はまた、同社のインド子会社は完全かつ正確な帳簿記録の維持を怠ったとしている。同社は、容疑の認否は明らかにしていない。これは同社とSECとの間のFCPA会計条項に関する和解としては2番目のものである。2013年10月、SECは、同社が、アルゼンチン、ギリシャ、メキシコ、ポーランド及びルーマニアにおいて違法な支払いを行った容疑について和解するため、1,320万ドルの支払いに応じたと発表した

5. SEC、複数の個人に対するFCPA違反容疑について和解 2018年9月、SECは2名の個人に対するFCPA違反容疑についても和解した。

  • ニュージャージー州の不動産仲介業者、ベトナムの高層ビルを巡るFCPA違反容疑について和解に応じる 2018年9月6日、SECは、ニュージャージー州の不動産仲介業者Joohyn Bahn氏がベトナムの商業用高層ビル(Landmark 72)の販売仲介に関連して中東のある国の外国政府職員に賄賂を渡そうとしたことがFCPAの腐敗行為防止条項及び同会計条項の違反に当たるとされた容疑を解決するため、ディスゴージメント(不正利得の吐き出し)として225,000ドルを支払うことに同意したと発表した。贈賄スキームの中でBahn氏は、Colliers International Group, Inc.の仲介役を担っていた疑いが持たれている。Bahn氏に対しては、関連する刑事手続きにおいて下された2018年9月6日付けの判決の中で違法収益の没収及び現状回復が命じられており、SEC命令によれば、当該命令の履行をもって同氏によるディスゴージメントは充足されたものとみなされる模様である。(ベトナムの高層ビルを巡る事件の詳細については、2017年1月2017年6月及び2018年1月の10大ニュースをご参照ください。)
  • チリの化学・鉱業会社の元CEO、FCPA違反容疑について和解に応じる 2018年9月25日、SECは、Sociedad Quimica y Minera de Chile, S.A.(「SQM」)の元CEO、Patricio Contesse Gonzalez氏が、FCPA違反の容疑に終止符を打つため、125,000ドルを支払うことに同意したと発表した。SEC命令によれば、Gonzalez氏は過去7年間に亘り、自身の会社を通じてチリの政治家その他政界関係者に対して、合わせて1,500万ドル近くを不正に支払った疑いが持たれている。SECは、Gonzalez氏が、自らが裁量権を有するCEOの口座を通じて不正な支払いを行うよう指示し、これを承認したと見ている。SECによれば、こうした支払いは、正当な権限を有するベンダーを装った個人や法人から同社に送られた偽造書類に基づいて行われていた。SECは、Gonzalez氏がこの他にも同社の会計帳簿を粉飾し、独立監査人に対して偽の発言をし、また、虚偽の証明をした疑いがあると見ている。法人としての同社は、2017年1月にSEC及びDOJとの間で和解に合意している。

6. PDVSA及びPetroEcuadorを巡る事件の最新動向 2018年9月、DOJが中南米の国営石油会社2社に対して実施した外国腐敗行為に関する捜査において、更に複数名の被告人が有罪答弁を行った。

  • PDVSA事件において、更に2名の被告人が有罪答弁 2018年9月13日、DOJは、ヒューストンの物流・貨物輸送会社のマネージャーであったJuan Carlos Castillo Rincon氏が、テキサス州南部地区連邦地裁において、FCPA違反の共謀に係る訴因1件について有罪答弁したと発表した。Rincon氏は、ベネズエラの国営エネルギー会社Petroleos de Venezuela, S.A.(「PDVSA」)からの契約の獲得、契約の延長及び契約条件の優遇において便宜を図ってもらう見返りに、PDVSAの職員に賄賂を支払ったことを認めた。また、同日、(両事件の裁判長を務める)Nancy Johnson治安判事は、Rincon氏が賄賂を支払った相手とされるPDVSAの職員Jose Orlando Camacho氏も有罪答弁を行ったことを明らかにした。PDVSA贈収賄事件において、DOJはこれまでに18名を起訴しており、うち14名の被告人が有罪答弁を行っている。(PDVSA事件の捜査に関する詳細については、2018年2月2018年4月及び2018年7月の10大ニュースをご参照ください。)
  • PetroEcuador贈収賄事件において、被告人の有罪答弁が相次ぐ 2018年9月11日、DOJは、Jose Larrea氏がフロリダ州南部地区連邦地裁において、マネーロンダリングの共謀に係る訴因1件について有罪答弁したと発表した。Larrea氏は、PetroEcuadorとの取引の継続及び新規取引の獲得を目的に石油サービス関連の請負業者がPetroEcuadorの職員に対して賄賂を支払った贈収賄スキームを隠蔽するため、米国に保有する自身の口座から米国内の複数の銀行口座に100万ドル超の資金を電子送金することにより資金洗浄を行うスキームに関与したことを認めた。また、2018年9月12日には、エクアドルの石油サービス会社のオーナーでエクアドル籍のJuan Andres Baquerizo Escobar氏が、フロリダ州南部地区連邦地裁において、マネーロンダリングの共謀に係る訴因1件について有罪答弁を行った。 Baquerizo氏は、自身が経営する会社が取引上の不当な厚遇を受けることができるよう、PetroEcuadorの職員に対して約170万ドルの賄賂を支払ったことを認めた。[1]

7. DOJ、セネガル元外相の起訴を取り下げ 2017年11月、DOJは、香港の元内政長官で香港とバージニアに拠点を置くNGOの代表であった何志平(Patrick HO Chi-ping)氏とセネガル元外相Cheikh Gadio氏がFCPA及びマネーロンダリング規制法に違反し、これを共謀した容疑による刑事告訴状を公開した。刑事告訴状によれば、何(HO)氏は、Gadio氏の支援を受けて、チャドとウガンダの政府職員に賄賂を支払い、中国系のエネルギー関連コングロマリット(会社名非公開)による取引獲得を手助けした疑いが持たれている。2018年9月14日、DOJは、詳細を明らかにすることなく、Gadio氏の起訴を取り下げるよう申し立てた。Gadio氏は11月に始まる何(HO)氏のトライアルで証言することが予定されている。

8. アルゼンチン前大統領、収賄の罪で正式起訴 世界各国で現職又は元職の大統領や政府首脳による汚職事件の捜査が続けられる中(2018年3月の10大ニュースをご参照ください。)、2018年9月17日、アルゼンチンのCristina Fernandez de Kirchner前大統領は、2007年から2015年にかけて、同前大統領とその側近が公共事業契約を発注する見返りとして建設会社から賄賂を受け取っていた罪で正式起訴された。Fernandez氏は現在上院議員であり、不逮捕特権を有するものの、訴追を免れることはできない。Claudio Bonadioアルゼンチン連邦判事が本件の調査を指揮している。Fernandez氏は不正行為への関与を否定している。

9. カナダの是正措置合意制度(Remediation Agreement Regime)が施行 昨年お知らせしたとおり、カナダ政府は、法人の刑事責任を解決する手段として訴追延期合意(「DPA」)の導入を検討するため、意見公募(パブリックコメント)手続を進めてきた。2018年2月に意見公募手続の結果が明らかになったことを受けて、カナダ政府は、「是正措置合意制度」として知られるDPA制度が導入されれば、政府が法人に対して刑事責任を追及する手段の選択肢が広がると発表した。予算履行法(Budget Implementation Act)を通じて刑法典を改正する方法により成立した是正措置合意制度は、2018年9月19日に施行された。同法は、「是正措置合意」について、「ある組織が[特定の経済]犯罪に関与した容疑で訴追された場合に検察官との間で合意を締結し、かかる組織が当該合意に定める条件を遵守すれば当該違反行為に対する司法手続を停止するもの」と定義している。同法によれば、是正措置合意の適用を受けるためには、(a)有罪判決が下されることが相当程度見込まれること、(b)違反行為を構成する作為又は不作為が傷害又は死亡を引き起こしていないこと、並びに(c)かかる合意について交渉することが公共の利益に適うことを検察官が確信し、かつ、司法長官もかかる合意の交渉に同意していなければならない。同法は、是正措置合意の正当性の判断に際し、次の要素について検討する旨を定めている。(1)違反行為が当局に摘発された際の状況、(2)作為又は不作為の性質及びその重大性、(3)上級役員の関与の度合い、(4)当該組織が講じた是正措置、(5)当該組織による賠償の有無、(6)当該組織が不正行為に関与した個人を特定する意思を表明したか否か、(7)当該組織が違反行為について有罪宣告を受けているか、規制当局による制裁を受けているか、又は過去に是正措置合意を締結しているか、(8)当該組織が他にも違反行為を行った疑いが持たれているか、並びに(9)その他検察官が重要と判断する要素。英国の起訴猶予制度と同様(2015年7月の10大ニュースの5番目のニュースをご参照ください。)、カナダの検察官も、交渉に入るためには対象企業に対して交渉の用意がある旨を通知しなければならない。外国腐敗行為に限られるものではないものの、米国、英国(本10大ニュースの10番目のニュースをご参照ください。)及びフランス(2017年11月の10大ニュースの9番目のニュースをご参照ください。)といった国々の経験を踏まえると、カナダが是正措置合意制度を導入することにより、外国腐敗行為に係る捜査の解決に向けた同国検察官の力が強化されることは必至である。

10. 英国重大不正捜査局の新局長、「これまでとは種類の異なる局長となる」ことを宣言 2018年6月、英国法務総裁(Attorney General)は、Lisa Osofsky氏が重大不正捜査局(「SFO」)の新局長に任命されたと発表した。2018年9月3日、Osofsky氏は、SFO局長として行った初めての主要な場でのスピーチの中で、今後5年間に自身が目指すビジョンの概要を明らかにした。Ososfky氏は、25年前にシカゴの連邦検察局在任中にSFOに出向した経験に触れたうえで、「私が今般着任した2018年のSFOは、DOJ在任当時に私が経験したSFOとは別の生き物と言えます。私は、これまでとは全く種類の異なる局長となります。」と述べた。Osofsky氏は、また、SFOが「担当する事件は、複数の法域にまたがる複雑な案件が増加する傾向にあり、グローバルな事件の解決に向けた協力がこれまで以上に重要になっています。こうした協力を実現するための関係強化や緊密化が、私の中心的な責務となることでしょう。」と発言した。同氏は更に、英国でDPAの利用が増加していること、また、DPAの利用が世界的にも広がる傾向にあると指摘したうえで、DPAが事件解決の適切な手段であるか否かを判断する際にSFOが考慮する複数の要素についても言及した。Osofsky氏は、SFO局長としての責務を遂行していくにあたり、他の法執行機関や規制当局だけでなく、NGOや民間セクターとも緊密に連携していく方針を示し、技術的な課題への対応のほか、SFOのインテリジェンス機能の改善に関する計画についても明らかにした。Osofsky氏による今般のスピーチは、今後5年間のSFO局長在任期間について、同氏がどのようなビジョンを抱いているかを知る貴重な機会であった。更なる情報を入手するため、今後も同氏の公式声明に注目していきたい。

執筆協力:Lauren Bennett、Morrison & Foersterアソシエイト

 


[1] United States v. Juan Andres Baquerizo Escobar, Case No. 18-CR-20596-DPG, ECF No. 19 (2018年9月14日、フロリダ州南部地区連邦地方裁判所)。

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